【書評】人はなぜ傷つくのか

Pocket

うつ病休職735日目です。

幻冬舎の見城徹社長が、ついにTwitterを開始されました。思わず読んでしまいました。

さて、本日も書評です。

【人はなぜ傷つくのか/秋田巌/講談社】

1ヶ月ほど前、【うつの人の風呂の入り方】という本を読みました。

書評へのリンクは、コチラ(前編)コチラ(後編)です。

大変よかったので、同じ著者の本を借りてみた次第です。

私にとっては、けっこう難解であります。

読書とブラック・ジャックが好きな妻も、「なんか難しいね」と敬遠する始末。

精神医療や心理学の教養がある人にとっては、スラスラ読めるのでしょうが。

本書は難しい、でも、心に刺さるフレーズがたくさん。

ちなみに本書では、アニメ・マンガの主人公がたくさん登場します。その中でも重要なのが、ブラック・ジャックとドラゴンボール。

それでは、「まえがき」より、気になったフレーズを抜粋していきます。

◎まえがき

  • より本質的には、人の人たるゆえんは「傷」にある。
  • 心的成熟こそが人間に与えられたもっとも重要な使命であるとするならば、傷をどう生きるか、が、人の最重要課題となる。
  • このテーマが最もふさわしく表現されている物語が「ブラック・ジャック」である。あの物語は、並みの物語ではない。特別の物語なのである。なんとしてでも、その意義をつかみ取っていただきたい。
  • 2000年の時を経て、ブラック・ジャックがイエス・キリストを引き継いだ。キリストが為し得なかった、あるいは為し過ぎた「オブス=仕事」を、手塚治虫がブラック・ジャックを生み出し、極めさせた。
  • キリストは全人類の罪を背負って十字架につけられた。だが、それではダメなのである。自らの傷と罪は、自らが背負いきらないといけない。あまりにもそれが重い時、助けを借りるのはいいだろう。その助けがキリスト教・仏教などである場合もあるだろう。だが傷を背負う主体は、どこまでも傷を受けた本人であるべきである。生涯をかけて背負う。そのイメージを確かなものにする概念が「Disfigured Self=傷を生きる自己」あるいは「Disfigured Hero=傷を生きる英雄」である。dis(ゆがめられた)figure(形)
  • 人は生きていれば必ず傷つき、苦しむ。時によっては数十年以上にわたり。この「傷」とは何か。いきなり結論を言えば、それは「神との契約」である。
  • 人が人となるための「傷」の契約においては、神あるいは天からの契約書が突然、眼前にふりそそぐ。おおきな傷を受けたその瞬間にである。そこに自らの名を署名できるかどうか。署名しなくても人生は成り立ちはする。だが、残念ながらそれはただ単に成り立つ、にとどまる。成り立つだけでも、それはそれですごいことではあるが、そこに自らの署名が加わるとき、人は苦しみつつも神との契約のもとに生きることが可能となる。そして神・天の与えた試練を全存在で引き受け、長い苦闘のプロセスの中で芽生える「傷と共に生きる存在」へと向かう。その先にあるものが、「傷を生きる自己/英雄」である。
  • なぜ「Hero=英雄」なのか。苦闘のプロセスの中でおのずと生じる、あるいは「えぐり出される」異能と共に生きるとき、おのずと英雄的になるからだ。
  • 署名するかしないか、それは個人に委ねられる。だが、なんとかして署名してほしい、と思う。
  • きっちりと署名してしまえば、多くの場合「異能」が与えられる。しかしその人生は、より苦しいものとなる。と同時に自負あるいは可能性が開けてくる。そして傷が生き抜かれたとき、はじめて傷の何たるかがわかる。神の意志・天の意志が初めて感じられるようになる。
  • 人はどうして傷つくのか。それは神と共に、あるいは天と共に、生きるためである。苦しくとも歩みを止めずにいると、自分にしか可能でない生き方へと導かれる。
  • 傷つくと欠落感が生じることもあるだろう。あるいは、ほんの些細なことでも強い罪悪感を抱くこともあるだろう。傷・欠落・罪、これらネガティブな要素としてのみ心に持ち続けている人が多いのではないだろうかしかし、傷・欠・罪にこそ、人をその人たらしめる力が宿っているのだ。
  • 傷を単なる負のイメージとしてとらえるのではなく、むしろ究極にまで自己をのばすエネルギーにさえなり得る、このことに気づいたとき、生き方が愕然と変わる。
  • (途中に漫画【コード:ブレイカー】が紹介されており、読んでみたいのでメモ。)
  • Disfigured Hero(傷を生きる英雄)は日本において特に賦活(活力を与えること)されやすい。日本には「両雄並び立つ思想」が存在するからである。日本においては一神教のように片方を単なる悪と決めつけて滅ぼしてしまおうとはしない。
  • 「それまでの自分」と「傷を受けた後の自分」の両者が並び立つことができる。そして二重らせん構造のごとく、竜巻の形状にも似たありようで存在の芯をつくりあげ始める。
  • 深い傷を負うと、祈りの心が生まれる。Disfigured Hero(傷を生きる英雄)と、祈りの心は、「傷によって生み出された双子」である。(ここで事例として【宇宙戦艦ヤマト】【竹取物語】【ブラック・ジャック】が登場)
  • 日本の漫画やアニメの根源にある、深層思想・深層態度を感じ取っていただきたい。本書の意図は、この点にこそある。
  • 深い傷を負った後、どう生きるか。この問題は、本書の各所において表現されていく。
  • 本書の目的はキリスト教批判ではない。よくよく注意を喚起しておきたい。

◎本書ではたくさんの漫画アニメが登場します

本書で引用されている、漫画アニメをリストアップしようかと思いましたが、断念しました。著者は現役の精神科医・臨床心理士です。多忙な毎日のはずなのに、よくここまで多くの漫画アニメを読み込んだなと思います。普通に読むだけでも大変なのに、漫画アニメに登場するシーンを、学問的・医学的に解説していく。しかも手塚治虫論まで登場します。並々ならぬ執念と才能を感じます。まさにこれこそが「異能」なのでしょうか。

あ、そうだ。【デスノート】と【Happy!】は、紹介されていた漫画の中でも、特に読んでみたいなと思ったので、メモメモ。

◎「人を動かす力」がある人物の共通点。悲しみや苦しみを背負って生きている。そして自分を「悲しみの最後の人」にしようと頑張る人が多い。

 

これは、私が1年前に書いたブログ記事のタイトルです。「日本でいちばん大切にしたい会社4」に収録されている「株式会社障がい者つくし更生会」を紹介した書評記事です。詳細はコチラ

本書【人はなぜ傷つくのか】を読んでいて、ふと1年前の、この記事を思い出しました。

よかったら、こちらも合わせてお読みください。

◎秋田巌先生の著書を読破できるようになりたい

正直、本書も、自分には難解で重たい。

でも、読破したい。(まだ、パラパラとめくりながら読んだだけ・・・)

ページをめくるたびに、漫画やアニメへの分析、手塚治虫の分析が登場し、そして魂を揺さぶられるようなフレーズが登場します。

秋田先生の著書「さまよえる狂気」「死を育てる」なども読んでみたい。

難しいけど、読んでみたい。

そう思いました。

発達障害・精神疾患に限らず、何かしらトラブルや悩みを抱えている方々にとって、本書は勇気がでる、「心の奥底に眠る種火」に着火されるような、そんな存在です。

時間をおいて、再度、読み返します。

今日は以上です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です